猫の らんこ  マウスで遊んであげてね^^

2010年10月09日

松川事件を風化させるな (一審判決60周年=無罪獲得50年=前年の集い)

記者クラブ

10月5日に日本記者クラブ大会議室において、
松川事件を風化させるな」というイベントが開かれました。
松川事件一審判決、差し戻し審無罪判決50周年を機に、
事件の背景、本質を語り合い、同時に貴重な資料を永久に保存し活かすため、
福島大学内の松川資料室の存続について検討するという趣旨の会合でした。

拙著の執筆にあたって大変お世話になった元・死刑被告の本田昇氏、
元・主任弁護人の大塚一男氏が、当時を振り返りながら、
貴重なお話をして下さいました。
そして私が生涯の師と仰ぐ福島大学名誉教授・伊部正之先生が、
松川資料室の現状について問題提起をして下さいました。

本田さんが、死刑判決を受けたときの思いを語る言葉は、
何度聞いても、ずしんと胸にこたえます。
「検察のことは卑劣と思っていたけれど、裁判官には期待していた。
まさかこんなひどい体験をするなんて、そのときの怒りは抑えきれないもので、
裏切られたという思いが大変強かった」
本田氏の口調は穏やかですが、未だに燃えさかる怒りをはらんでいます。

また当時、裁判を傍聴しに出かけたという方からの、
「二審判決の日に、すでに主権が回復されているというのに、
裁判所そばの辻々にMP(米軍憲兵)が立ち、米軍のヘリコプターが旋回していた」
という証言は、生々しく不気味に響きます。
松川事件が未解決事件だということを、あらためて思いおこされると同時に、
では真犯人は一体誰だったのか、本当のことを知りたいと強く願います。

本田さんが広津和郎氏について語る言葉には、いつもながら感銘を受けました。
「いかなる政治が行われても、裁判は独立して公正でなくてはならない」
広津氏のこの訴えは、司法不信の広がる現代にも、鋭く重く響くものです。
「松川裁判が政治闘争の手段と思われないように。そうでないと
大衆闘争にまで到達しない。政治裁判ではなく、徹底して刑事裁判と見て、
無実の被告を救うという形にしたいという、広津氏の判断と手法は見事だった」
本田さんのご見解に、なるほどと感じ入ります。
広津氏について語るときの本田さんの瞳は、少し潤んでいるようにも見え、
お二人の、魂の交流とも言うべき深い関係を物語っているようです。

後半は松川資料室の存続問題について検討するディスカッションとなりました。
「恒常的に今後の運営を考えていかなければならない」
伊部先生の言葉を受けて、質疑応答が行われました。
松川資料室には、松川事件・松川裁判・松川運動に関する様々な分野の資料、
さらに関連する周辺事件や、時代背景に関連する資料など、
約10万点が収蔵、展示されていて、事前の申し込みにより見学することができます。

全国から多くの見学者が訪れ、貴重な資料を閲覧しています。
松川資料室と伊部先生に、私もどれだけお世話になったか言い尽くせないほどです。
「松川資料センターとなって、松川学の発祥の地になって欲しい」
伊部先生のご発言に、参加者一同大きく頷きました。

松川資料室は我々にとってかけがえのない宝です。
この貴重な資料室を、後世に受け継いでいくのが
現代を生きる我々の使命ではないかと思います。
松川資料室が、一番良い形で存続することを、心から願ってやみません。
ラベル:松川事件
posted by 橘かがり at 00:35 | TrackBack(0) | 松川事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月02日

「日本の黒い霧―遥かな照射」上映と佐野眞一氏講演の夕べ

松本清張 日本の黒い霧

福島大学の伊部先生にお誘い頂き、新宿の安田生命ビルで行われた、
松本清張生誕100年記念 松本清張記念館オリジナル映像
「日本の黒い霧―遥かな照射」上映と講演の夕べ
に行ってまいりました。

松本清張記念館のオリジナル映像は、門外不出のもので、今回は特別の上映だそうです。
フィルムは「日本の敗戦と松本清張の戦後」「帝銀事件」「下山事件」「松川事件」「黒地の絵」
…と、5部に分かれていますが、どれも大変興味深いものばかりでした。
帝銀事件現場と731部隊について、下山事件と捜査の行方、
松川事件と裁判、広津和郎氏と松本清張氏の関わりなど、
貴重な映像の数々に、とても感激しました。
敗戦後の街の風景やGHQ将校たちの姿は、
私が今取り組んでいる題材と重なる部分があり、思わず身を乗り出して見入りました。

また『黒地の絵』という、清張作品の題材になった、
小倉黒人兵集団脱走事件についての映像は、とても衝撃的でした。
この事件について私ははじめて知ったのですが、
朝鮮戦争の頃、小倉にある米軍基地から黒人兵が集団脱走し、略奪と婦女暴行をした事件で、
事件を目撃した人たちの証言が生々しく、胸に突き刺さるようでした。
清張作品は、どれも現代に通底するテーマをはらんでいて、
佐野眞一氏の講演での、「清張は冬眠しない作家である」という言葉に、
深く共感する思いでした。

会場には多くの人たちが来場していましたが、松川運動記念会の古屋恒雄さんや、
かつてメールでやりとりさせて頂いたジャーナリストの方にもお目にかかることができ、
とても嬉しいひとときでした。伊部先生ありがとうございました!
posted by 橘かがり at 20:17 | TrackBack(0) | 松川事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月23日

松川事件60周年記念全国集会に参加して

松川事件 60周年イベント  松川事件 60周年イベント

10月17日に福島大学にて開かれた松川事件60周年記念集会に参加して参りました。
開会の13時半を少し過ぎたころに到着すると、
すでに多くの聴衆と報道陣でごったがえしていました。
第一会場はとうに満席で立ち見が出て、モニターが設置された第二会場第三会場も、
ほとんどいっぱいという大盛況です。

せっかく来たのだから、立ち見でも、じかに講演を聴きたいと希望して
第一会場の人ごみをかきわけ、最後部にて、立ったまま講演を聴きはじめました。
私が入ったとき、ちょうど福島大学学長の今野先生のご挨拶が終わり、
元衆議院議員の松本善明氏のご挨拶が始まったところでした。
その後、元被告を代表して、鈴木信氏のご挨拶が続きます。
鈴木信氏はもうすぐ90歳を迎えられるということですが、
よどみなく語るお声はよく通り、大変力強く、エネルギッシュです。
国家権力によって囚われの身になった日々のことを、
昨日のことのように語られていたのが印象的です。

松川事件 60周年イベント   松川事件 60周年イベント

そして我らが伊部先生の記念講演が始まりました。
少しでも近くでお話を拝聴したいと思い、先生のお顔が良く見える、
後部の階段にすべりこみ、腰をかけ、メモを取りながらお話を聞きました。
先生はユーモアたっぷりに、御著書の苦労談を語られて、
会場からは、何度も大きな笑いが巻き起こりました。

先生の御著書『松川裁判から、いま何を学ぶか 戦後最大の冤罪事件の全容』
私も早速拝読させて頂きましたが、学術書に慣れていない私のようなものでも、
大変に読みやすく、分かりやすく、ある意味ではミステリーのようにも読めて、
非常にリーダビリティの高い作品だと感じました。松川事件のことを全く知らない方にも、
十分にアピールするエンターテインメント性があると思いました!
真犯人について、踏み込んだ考察をしている部分が特に興味深く、考えさせられました。
「松川裁判と現代――松川裁判から何を学ぶか」の章は、ことさらに重く感じられました。
松川事件は、現代社会に、今なお問題提起し、警鐘を鳴らし続けている、
未解決の、継続中の事件なのだと、あらためて痛感しました。

一日目の講演の最後は、松川事件主任弁護人の大塚一男氏の講演でしめくくられました。
どの方のお話も大変に素晴らしく感動的、何より聴衆の熱気に圧倒されました。
本当に60年も昔の事件の記念集会なのかと疑いたくなるほど、
全国から多くの人が集っていました。
国家権力に対して勝利を勝ち取った人々の喜びの炎は、
未だに熱く燃え盛っているように思えました。
松川運動は最も幸せな形で終結した市民運動であり、
常にさわやかだったと言われていますが、
運動に身を投じた人たちの祈りと願いが、
今でも会場に満ち溢れているようでした。

そして拙著で大変お世話になって本田昇さんの御著書も発売になり、
伊部先生の御著書と共に会場に並べられて、人気を博しておりました。
『松川事件 60年の軌跡』 本田昇著
頒布価格 1300円 問合せ 〒247−0007 横浜市小菅ヶ谷3−23−21 本田しのぶ
郵便振込先 郵便振替 00280−9−130429

本田さんの御著書も、ぜひ皆さまに読んで頂きたいです!

松川事件 60周年イベント

恥ずかしながら拙著も伊部先生の御本のそばに置いて頂きました。
購入くださった皆さま、心より御礼申し上げます!

松川事件 60周年イベント

伊部先生からうかがったところ、集会参加者は、第1日1300人、第2日800人で、
50周年記念集会(830人)の、1.5倍だったそうです!!
60周年記念集会が、大成功のうちに幕を閉じたことを、心よりお慶び申し上げます。

記念集会に合わせて、松川資料特別展示(経済経営学類大会議室)が実施され、
松川資料室と特別展示に、初日400人、2日目300人もの方が訪れたそうです。
今年の見学者はすでに1000人に達していますが、
資料室の来年4月以降の運命が、どうなるかが未だに不確定で、
新聞各紙が注目して、「松川資料室の危機」を報じ、
全国の関係者も大いに心配している状況です。私も深く案じております。

松川事件資料室は、福島大学名誉教授伊部先生のもと、
松川事件・松川裁判・松川運動に関する様々な分野の資料、
さらに関連する周辺事件や、時代背景に関連する資料など、
約10万点が集積され、展示されています。
松川事件は未解決事件です。次世代に引き継ぐべき大切な資料室を、
皆さまにも是非関心を持って見守って頂きたいと強く願います。
posted by 橘かがり at 22:33 | TrackBack(0) | 松川事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする