猫の らんこ  マウスで遊んであげてね^^

2010年11月16日

五島美術館 国宝源氏物語絵巻展

源氏物語絵巻

上野毛にある五島美術館にて、国宝源氏物語絵巻展が開催されています。
国宝「源氏物語絵巻」は、『源氏物語』を絵画化したもので、
物語が成立してから約150年後の、12世紀に制作されたものだそうです。
成立当初は巻子本で十巻程であったと言われますが、
現在は54帖全体の約4分の1、巻数にすると約四巻分が現存しています。
江戸時代初期には、三巻強が尾張徳川家に、
一巻弱が阿波蜂須賀家に伝来したことが知られ、
現在は額装の状態で、 徳川家本は愛知・徳川美術館が所蔵、
蜂須賀家本は五島美術館に所蔵されています。

展覧会では、現存する国宝「源氏物語絵巻」20段分(19画面)が展示されています。
東京での展示は10年ぶりになるそうですが、私は二回目の見学です。
また、科学的分析を踏まえて成立当初の姿を復元した「平成復元模写」も
同時に展観されています。
かつての絵巻の姿を想像しながら見比べるのも、大変に興味深いです。

源氏物語絵巻

私が一番好きな絵巻は鈴虫の巻です。
出家した女三の宮と、もはや御簾の中には入れない源氏。
秋の前栽をながめ、鈴虫の音を聞きながら唱和する、情趣あふれるシーンです。


おほかたの秋をば憂しと知りにしを
  ふりすてがたき鈴虫の聲


この展覧会は11月28日まで開催されています。
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2010年04月20日

美しき挑発 タマラ・ド・レンピッカ展 

レンピッカ展

美術史上、ひときわ強烈な存在感を放つ画家レンピッカ。
アール・デコのアイコン」ともいわれ、その作品は、見るものに圧倒的な印象を残します。
多くの著名人やアーティストに愛されたレンピッカの待望の展覧会が、
渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムで開かれています。

タマラ・ド・レンピッカ
(1898−1980)はワルシャワの良家に生まれ、思春期をロシアとスイスで過ごしました。
18歳で貴族の弁護士と結婚するものの、翌年ロシア革命でパリへ亡命。
働かない夫を尻目に画業で身を立てる決心をし、パリの社交界にも進出。
プロの写真家に撮らせた、まるでハリウッド女優のような自分の肖像写真を名刺がわりに、
亡命貴族や財界人、文化人などをモデルに肖像画を描きながら、
着実に画家としての地位を築いて行きます。

プライベートでは、モデル達との数々のスキャンダルで浮名を流し、
自分の欲望に忠実に、奔放に生きました。
自らの魅力と才能を知り尽くし、それを武器に、セルフ・プロデュースに徹しました。
彼女の生き方そのものが、作品にも強く反映され、作品を輝かせています。
レンピッカの作品はハリウッドの著名人、個人コレクター、画廊、美術館など
世界中に点在しており、美術館などでまとまった点数を見ることは極めて困難だそうです。
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「私の作品はどれも自画像なのです」
女性画家タマラ・ド・レンピッカが活動を始めた1920年代。
大胆な風俗が現われ、都会のライフスタイルが確立し、女性が社会に進出しだした時代である。
彼女はまさにその実践者であり、その生き様は現代人顔負けの奔放さに溢れ、
作品はどれも彼女の分身として、観る者を圧倒する。
画面からはみ出さんばかりの圧倒的な存在感を持つ女性像。
筆跡のない金属的な光沢を放つ肉体は、大型のモーターバイクのように官能的だ。
鋭いまなざしもその特徴である。たしかにそこには、彼女自身が投影されている。
私生活でもレンピッカは本能の赴くままに生きた女性であった。
スポーツカーを乗りこなす恋多き女の相手には女性もいた。
画家になったこと自体が、自身が欲したことだった。フォトジェニックな美しさは、その生きる姿勢がもたらした。
やりたいことをやる。ただそれだけのことが、しかし必ずしも容易ではないそんな生き方が、
レンピッカを、そしてその作品を、輝かせているのである。

本展は日本初公開約30点を含む油彩やデッサンなど約90点で構成される
ファン待望のレンピッカ展である。        Bunkamura ザ・ミュージアム学芸員 宮澤政男


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会場にはタマラの大きな肖像写真が飾られ、映像でも彼女の姿を見ることができます。
力強く、激しく、官能的な作品とあいまって、彼女の輝くばかりの美しさは、見る人を強く惹きつけます。
奔放に、大胆に、潔く。やりたいことをやって、颯爽と時代を駆け抜けた、美貌の画家タマラ・ド・レンピッカ。
彼女のかっこよさに、脱帽です!


この展覧会は、渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムにて、5月9日まで開催されています。
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2009年05月03日

忘れえぬ人

忘れえぬ人

モスクワの国立トレチャコフ美術館展が、文化村ミュージアムで開かれています。
トレチャコフ美術館は、中世の美術も含め約10万点の作品を所蔵している美術館です。
なかでも19世紀後半から20世紀初頭にかけてのロシア美術の作品は、
創始者トレチャコフが熱心に収集した、同時代の傑作が揃っていると言われます。

この展覧会では、ロシア美術の代表的画家レーピンクラムスコイシーシキン等、
38作家による75点の名品を紹介しています。50点以上が日本初出品だそうです。
19世紀半ばからロシア革命までの、人々の生活、壮大な自然や美しい情景を描いた作品と共に、
チェーホフトルストイツルゲーネフらの文豪の肖像画も加えて構成し、
リアリズムから印象主義に至る、ロシア美術の流れを追う意欲的な試みとなっています。

写真の絵はクラムスコイの名作『忘れえぬ女』です。
ロシア語の原題を直訳すれば、「見知らぬ女」となるそうですが、
謎めいた美しさゆえ、いつしか『忘れえぬ女』と呼ばれるようになったと言います。
世界中の人々を魅了してきたこの女性像は、19世紀後半から20世紀にかけての
ロシア絵画の潮流を代表する作品です。
馬車に乗った女性を描いたこの作品は、街角で出会った瞬間を、
肖像画のような形で表現しています。寒いロシアの街で、あえて無蓋の馬車に乗るこの女性は、
決して上流の貴族階級ではないと推測されます。
憂いとも悲しみとも取れる表情を通じて、画家は、社会の真実の姿を表現しようとしたのでしょうか。
一瞬の美を見事に描き出したこの作品は、写実主義的な描写ながら、
ロシア絵画の印象主義的方向への展開を示すものともなっているといいます。

19世紀後半のロシアは、社会の混乱とは対照的に文化的には実り豊かな活気溢れる時代でした。
クリミア戦争の敗北から農奴制廃止を経て、巨大な帝国は、社会主義革命を前に、
静かに沈没していく運命にありました。知識人たちは、民衆や祖国を意識し、
社会の真実を探求していきました。ドストエフスキーやトルストイが送り出す大作を人々は耽読し、
美術界もまた、多くの才能を輩出したのです。

珠玉の作品群を通して、ロシアの雪深く長い冬、短い夏の一瞬のきらめき、黄金の秋、
そしてロシアの人々の息づかいを、たっぷり堪能することができるこの展覧会は、
文化村ミュージアムにて6月7日まで開催中です。
posted by 橘かがり at 05:18 | TrackBack(0) | 美術館・展覧会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする