猫の らんこ  マウスで遊んであげてね^^

2011年06月08日

鳥尾鶴代さんのお孫さん、鳥尾家五代目・鳥尾文孝さんとの出会い

人のご縁というのは不思議だなぁとつくづく感じさせられることがありました。
「焦土の恋」執筆中に、どうしてもさがしあてることのできなかった
鳥尾鶴代さんのお孫さんが、
何とアムネスティ50年記念チャリティパーティで、
ボランティアを共にした藤岡さんの、後輩だったことが判明!
藤岡さんのご厚意で、早速ご紹介いただき、お目にかかってまいりました!

ドキドキしながら待ち合せ場所に向かいましたが、
鶴代さんのお孫さんで、鳥尾家五代目にあたる鳥尾文孝さんは、
穏やかな笑顔を浮かべた素敵なジェントルマンで、
興味深い貴重なお話を快く語って下さいました。
連休中は被災地ボランティアに出向いていたという文孝さんは、
写真で拝見した鶴代さんのご主人の敬光氏にそっくりです!

文孝さんは鶴代さんと共に暮らしていた時期もあり、
「フミ、フミ」と呼ばれて大変に可愛がられたそうです。
鶴代さんの作ってくれた料理の味も覚えているとか。
鶴代さんはフランスにしばらく滞在したせいもあってか、
大変なフランス贔屓で、フランスのファッションを好んだそうです。
当時流行っていた大きなサングラスをかけて、最新流行の服を着て歩く姿は
お孫さんの目から見ても非常にかっこよく、自慢のおばあちゃまだったとか。
また晩年までプロポーションがよく、手足が長く、胸が大きく、すらりとして、
どんな洋服もお似合いになったそうです。

文孝さんが鶴代さんと一緒に暮らしていた頃、文孝さんは思春期の一番難しい時期で、
鶴代さんを悲しませたり困らせたりしたこともあったとか。
「もう一回祖母に会って、詫びたいのですよ」
文孝さんのそんな言葉を聞いて、思わず胸が熱くなりました。
「祖母のことは、悪く書かれることも多かったようですが、
こんなに美しく描いていただいてありがとうございます」
そんな風に言われると、こちらが恐縮してしまい、
何とお答えして良いのかわからなかったのですが、
ご遺族の方に喜んでもらえてよかったと、心から思いました。

鶴代さんと文孝さんがご一緒に住んでいた家は、私の実家のすぐそばだったことが分かり、
もしかするとどこかですれ違っていたかもしれないとも思えます。
人のご縁というのは本当に不思議なもので、
多くの方に助けられていることをあらためて感じ、感謝の気持でいっぱいになりました。
大きなサングラスをかけて、姿勢よく堂々と街を闊歩するお洒落な鶴代さんが、
目の前に浮かぶようです。
鳥尾文孝さん、藤岡さん、そして鶴代さん、本当にありがとうございました!

posted by 橘かがり at 02:34 | TrackBack(0) | 自著について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月09日

新刊「焦土の恋〜GHQの女と呼ばれた子爵夫人〜」ようやく発売のお知らせ

焦土の恋

2年と9ヶ月、十数回も原稿を付き返され、大変苦労した原稿ですが、
3月10日にようやく発売が決まりました。
『焦土の恋〜GHQの女と呼ばれた子爵夫人〜』祥伝社文庫です。
何とぞよろしくお願い致します。

「苦労して数十年かけて書こうとも、鼻歌交じりに1ヶ月で書き上げようとも、
出来上がった原稿がすべてです」と編集者に云われ、
その通りとは思うのですが、本当に、本当に、苦労しました。
こんなに遅れて、こんなに難産したことへの、私なりの幾つかの反省点があります。
・ 編集者さんと題材で合意を得て、細かい打合せをせずに書き始めてしまった。
・ ノンフィクション・ノベルの書き方の工夫が足りなかった。
・ 私の力量では無理な題材だった。力不足だった、甘かった(涙)

では何故そんな高いハードルにあえて挑戦したのか。少しだけ言い訳させて頂きます。
前著で戦後史のテクストを多く読んだ私には、
史料に記されていることと、世間で流布されていることが、真逆であったり、
肝心なことが隠され、枝葉末節のみ語り継がれていることが、
奇異に思えてなりませんでした。おかしい!!
学校でもほとんど教わらなかった戦後史のことを、
我々はほとんど知らないのではないか。それがこの原稿を書くきっかけでした。

テクストの中から、何度も浮かび上がり、興味惹かれた名前がありました。
美貌の子爵夫人・鳥尾鶴代――。
彼女のことを書きたいと願いました。
鳥尾鶴代といっても、皆さんほとんど知らないと思います。
彼女はあるパーティに招かれ、GHQ民政局次長のケーディスと恋に落ちます。
ケーディスは日本国憲法草案作成を実質的に指揮し、
農地解放など日本の民主化に尽力しながら、GHQ内の政権争いに敗れ、
日本の保守政治家たちに疎まれ、石持て追われるように日本を去った人物です。
二人の恋愛をスキャンダルとして流し、追いつめたのはS。
背後にいたのがGHQ参謀二部のウイロビー
更にその後ろに高くそびえるのが、米ソ冷戦時代のアメリカです。
1949年ケーディスの民政局辞任直後に下山事件が起こります。
Sはその後も財界人として活躍し、今なお戦後史のヒーロー扱いです。

けれども世田谷の小さなアパートで、最晩年をひっそりと暮らした鳥尾鶴代は、
あっという間に人々から忘れ去られ、歴史の闇にうもれてしまいました。
もちろんケーディスにも非はあり、
個人主義を貫き通した鶴代にも、責められるべき点はあります。
しかし彼女は何故これほどまで、バッシングされなくてはならなかったのか。
スキャンダルの陰には、何が隠されていたのか。
一番得をしたのは、誰だったのか――。
ご興味を持って頂けたなら、ご一読頂けると大変光栄です。
何とぞ宜しくお願い申し上げます。


焦土の恋 鳥尾鶴代

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くじけそうになった時に救ってくれた一冊が、佐々木中氏の語り下ろしインタビュー本
『切りとれ、あの祈る手を―〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』です。
この本からは、どれだけの勇気と励ましをもらったか知れません。
「誰の手下にもなってはいけない、誰も手下にしない。
命令ならば、誰の言うことも聞かない」
非力を思い知り、初心に戻って一から勉強しなおさなければならない私ですが、
誰の手下にもならず、真摯に、誠実に、読み、書き、読み、書き……
続けて行きたいと願っております。

夜更けの本たちと、ブログを通して応援して下さった皆さまに感謝!
また厳しい批判とアドバイスを下さりながらも、
信念の部分は最後まで尊重して下さった、祥伝社文庫編集長Kさんに感謝!!
そして拙著を楽しみに待ってくれていた、亡き親友・高品ひずるさんに、
心からの感謝を捧げます。 
ラベル:焦土の恋
posted by 橘かがり at 15:47 | TrackBack(0) | 自著について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月31日

年末の取材を終えて

昨年から、昭和を駆け抜けたある女性のことを、追いかけています。
今年も多くのジャーナリストや作家の方たちに取材させて頂きました。
どの方のお話も、大変印象に残り、役に立ち、感謝の気持ちでいっぱいです。
取材することの大切さを痛感し、同時に、取材の楽しさを知った一年でした。

先日28日には編集者さんと一緒に、ノンフィクション・ライターのKさんを
お訪ねしました。Kさんは最晩年のその女性に、実際に面会し取材をして、
ノンフィクションを手がけた方です。
それまで彼女は取材をほとんど全て断っていて、Kさんは許可をもらうまで、
何回も何回も、彼女の住まいに足を運んだそうです。
ようやく許可を得て、彼女に会うことができたのだと知りました。

Kさんによれば、3時間ほどの間、彼女は貴重な体験談を語り、
アルバムの中から、多くの写真を見せてくれたそうです。
今までは歴史上の人物に思えたその女性の姿が、Kさんの言葉を通して、
目の前にいきいきと甦って来るようで、胸がふるえました。

Kさんが彼女と会ったのはたった一回だけで、
Kさんが訪れてしばらくしてから、彼女は亡くなっています。
「まるで彼女から遺言を託されたような気がする」とKさんは言います。
Kさんの誠意と熱意が、彼女の胸を打ったのかも知れません。

彼女のことを取材しに行ったつもりでしたが、
Kさん自身の人生談も大変興味深く、知らず知らずの内に、
Kさんの語るお話に聞き入っていました。
書き手として教えられることの多い、とても実りあるひと時で、
編集者さんと共に、感慨深い気持ちになりました。

彼女をめぐるエピソードを基に、私はノンフィクションノベルを執筆中で、
現在、三回目の書き直しを終えたところです。
来年こそは何とか完成させたいと願っています。
Kさんの言葉を糧にして、年末年始も原稿書きに励みたいと思います。

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今年は多くの友人知人の出版が続いた年で、
書店で知人の本を見ない日はなかったような気がします。
11月には、河原千恵子さんの小説すばる新人賞受賞の報せを聞き、
皆でお祝いを致しました。河原さんの末永いご活躍をお祈りしております!

また、小説現代新人賞の先輩でもあり、『ぴんはらり』太宰賞を受賞した
栗林佐知さんとお知り合いになれたのも、嬉しい喜びでした。
『ぴんはらり』については、また来年詳しく書かせて頂こうと思っておりますが、
これからも栗林ワールドを読ませて頂けるのを、楽しみにしております!

友人たちの活躍は一番の励みになります。
皆さんを見習って、私も頑張って書き続けていこうと、思いを新たにしています。
そして又、拙いブログをいつも読んで頂き、心より御礼申し上げます。
来年も何とぞ宜しくお願いいたします。どうか良いお年をお迎え下さいませ。

恵比寿月夕堂
posted by 橘かがり at 03:23 | TrackBack(0) | 自著について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする