猫の らんこ  マウスで遊んであげてね^^

2013年07月29日

小説の神様に愛された桜木紫乃さん、あらためておめでとうございます!

桜木しの1氷平線 桜木しの2恋肌
posted by (C)橘かがり

『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞した桜木紫乃さんの
オール讀物新人賞受賞作「雪虫」を、当時通っていた小説学校の課題作として読んだのは2002年のことでした。骨太で乾いた筆致、卓越した描写力に唸った記憶があります。
オール讀物新人賞を受賞して5年後に、受賞作含む初短編集『氷平線』を出版。
オホーツク沿岸の町で再会した男女の凄烈な愛を描いた表題作「氷平線」をはじめ
いっそう磨きのかかった描写に、心から感服しました。
それ以来、熱烈なファンになり、全作品を読んできましたが、
どれを読んでも、決して裏切られることのない力作揃い。
特に146回直木三十五賞候補、第19回島清恋愛文学賞受賞『ラブレス』には、
読後しばらく涙が止まらず、朝までさめざめ泣きました。
これほどまでに人の心を動かす小説の凄さにたじろぎ、
小説の持つ力をしみじみ感じました。
好きな作家さんのことはブログにはあえて書かないようにしていたのですが、
受賞後のインタビューを読んで胸が熱くなり、どうしても取り上げたくなりました。
かっこいい。かっこ良過ぎる!桜木紫乃さんは永遠の憧れの方です!


YOMIURI ONLINE 桜木紫乃さん 直木賞を受賞してより。

さぁ腹をくくれ。北海道人は総じて面倒くさがりが多いのだ。結婚式は会費制だし、香典にも領収書が出る土地。そんなところで生まれ育った人間が、内地に根を張る日本の文化に上手く絡んで行けるわけもないのだから。
 初代開拓民だった祖父母もきっと「面倒くさく」なって根っこを断つような生き方を選んだのだろう。北海道は流れ着いた初代が嘘をついたら、その嘘が歴史になってゆく。祖父母がどこから来たのか、実は詳しいことを知らない。武士の出だが内地を出てからは魚屋になった、あるいは炭焼きになった、と聞くと「本当かよ」と思う。
 どれもこれも証人がいない。名乗ってしまえば「作家」というのと同じだろう。
 自ら作家を名乗ったことはないけれど「小説書き」という言葉は使う。流れてゆくような響きが好きなのと、約束された明日と根のないことへの戒めだ。
 記者会見という大舞台へ出る際「よし、やったるか」と両脚を叩いたときの心境は、うねる津軽海峡を渡ったときの祖父母のそれと似ていたかもしれない。
 根無し草の血がそうさせるのか、心の隅で常に「どこでだって生きていけるさ」と思っている。面倒くさがりだから、居心地がよければいつまでもそこにいる。
 東京會舘のフロア、控え席と会見場を仕切る衝立を出る際に感じたのは「昨日を捨て去る快感」ではなかったろうか。実に気持ち良かった。
 『ホテルローヤル』収録「えっち屋」の一行に「今日は旅立ち。今日から自由。今日でお別れ。今日が始まり――」と書いた。廃業したラブホテルから出てゆくことを決めた娘の話だ。彼女もまた己の内側にある津軽海峡を渡る決意をしたのだろう。
 このたびの受賞で、自分の体に流れる血が書かせてくれる一行を信じられるようになった。血が財産だと思ったのは初めてだ。
 これで開拓四世となる我が子らに「お母さんは昔、小説家になりたかったんだよ」と言わずに済む。
 時期を同じくして、実在した「ホテルローヤル」が取り壊され、同じ名の本が生まれたことは、偶然というにはあまりに出来すぎという気がする。小説の神様は本当にいるのかもしれない。


桜木しの3ラブレス 桜木しの4ホテルローヤル
posted by (C)橘かがり
posted by 橘かがり at 17:57 | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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