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2012年02月23日

劇団民藝『静かな落日』を鑑賞して

静かな落日

劇団民藝の公演・広津家三代を描く『静かな落日』が、好評のうちに幕を閉じました。
知人や友人を誘って、三回会場に足を運びました。
連日大勢のお客様が足を運んでくださっていて、大変嬉しく感じました。
広津和郎志賀直哉の文士同士の心温まる友情、
松川裁判を広津和郎に紹介するきっかけとなった宇野浩二との交流、
大衆作家として一世を風靡した父親・広津柳浪との対話。
ユーモアあふれるせりふが散りばめられながら、どの場面も切々と胸にしみいります。
女性問題では優柔不断で、家族を悩ませ続けた一人の男としての姿も、
率直に描き出されていました。妻と別れた後に暮らし始めたハマさんという女性にも
非常に好感が持てました。

そしてペンの力で膨大な松川裁判批判を続け、
やがて大きなうねりを生み出していく広津和郎の、
人間として作家としての決意のようなものが、舞台から強く伝わってきました。
人が毅然として真実に立ち向かう姿を、凛として浮かび上がらせてくれるお芝居でした。
どんなことがあってもめげずに、忍耐強く、執念深く、
みだりに悲観もせず、楽観もせず、生きとおして行く。
(「散文精神について」1936年)

広津氏が散文精神について語った言葉が、現代の我々の前に、
鮮やかによみがえってまいります。

「好きよ、お父さんが好き」
松川裁判をたたかいつづける病身の父にぴったり寄り添う桃子は、一人つぶやきます。
和郎が亡くなった後に、父の回想場面が続き、
桃子が再び「好きよ、お父さんが好き」とつぶやく場面には、特に胸が熱くなりました。
私も夜中にそんな風に父のことを思い出し、つぶやくことがあるからです。
樫山文枝演じる桃子の、娘としての思いに共感して、思わず涙がこぼれました。

会場のホールには広津家三代の写真と共に、松川事件の写真も多く貼られていました。
お客さまたちが見いっている様子に、私も励まされる思いでした。
未解決事件である松川事件のことを風化させたくない、
多くの人たちに知って頂きたいと強く願い、劇場を後にしました。
劇団民藝の皆さま、すばらしい舞台をありがとうございました。


静かな落日
posted by 橘かがり at 22:43 | TrackBack(0) | 松川事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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