2019年06月30日
香道御家流桂雪会・百ちゅう香会
小雨けぶる芝の増上寺にて、恒例の香道御家流桂雪会・百中会が開かれました。今年は御代かわりにちなみ、天皇の御歌から選ぶことになりました。
今年は私も出香当番の一人で、読み慣れない歌論を読みふけり、崇徳院の「花は根に鳥は古巣にかへるなり 春のとまりを知る人ぞなき」という御歌に決め、香木を選びました。
糸桜というマナカ、群鳥というスモタラ、中空という伽羅に、暮春という羅国を、客香として配しました。
「春が終われば花は根に 鳥は古巣に帰っていく。でも春の行き着く先を知る人は誰もいない」という意味の御歌で、春の終わりや夏の終わりにもの哀しい気持ちになり、
いったい春はどこに消えてしまったのだろう、
夏はどこに行ってしまうのだろうと、私自身よく思いにふけるので、春が中空に漂いながらすーっとかすむように消えていくさまをイメージしました。
香木を小さく切るのが至難の業で、香木屋さんに駆け込みました。著しく減少している昨今の香木事情をお尋ねしながら、香木をカットしてもらいました。
それから小さな包みに一つずつ封入して、最後に総包という包みに入れるのですが、何度も封を開けては確認して、神経衰弱になりそうな毎日でした。
いざ実際に会場で聞いてみると非常に分かりにくく、悔いも大いに残りましたが、無事に終わり安堵しています。たまたま誕生日の前日で、香会を終えてから一つ歳を重ねました。