猫の らんこ  マウスで遊んであげてね^^

2019年04月30日

巨星松本清張展 神奈川近代文学館


しがない書き手の私ではあるが、誰に一番影響を受けたかと問われれば、間違いなくこの方をあげる。
松本清張氏が『日本の黒い霧』を書いたのは何と1960年。私ごとながら2008年に拙著・判事の家のために、松川事件、関連して下山事件を調べてゆくと、『日本の黒い霧』に記された内容が、後世に判明した、ほぼ史実と言って良い事項に、少なくとも八割方は符合しているのを知り驚愕した。
戦後の一連の怪事件の背景にGHQ(参謀二部)の存在があったというのを、初めて記したのが清張氏であった。しかも『日本の黒い霧』が書かれたのは、あの名作『点と線』が大ベストセラーになり、作家として脂の乗りきった時期に重なる。同時期に『わるいやつら』『砂の器』を連載している。

特別展の図録冒頭を飾る半藤一利氏の寄稿によれば、1952年清張の芥川賞受賞時に、坂口安吾が「文章甚だ老練、また正確で静かでもある。一見平板のごとくでありながら造型力逞しく、底に奔放達意の自在さを秘めた文章力(中略)この文章は実は殺人犯人をも追跡しうる自在な力があり、その時はまたこれと趣きが変わりながらも、同じように達意巧者に行き届いた仕上げのできる作者である」と評し、これは清張が推理小説も書ける作家と見抜いた批評であるが、その直後に半藤氏は安吾から「あの新人は正確な文章で、日本にはかつてなかった欧米流の骨太なノンフィクションの書ける逸材だよ」という絶賛の台詞を、直接聞いたという。清張の本質を見抜いた誠に鋭い慧眼である。

私が清張(ミステリ)作品に深く共感する理由の一つは、女性へのフェアな視点だ。当時は女性の地位は今よりはるかに低かったから、女性を弱者として描いている面は否めないが、そのまなざしは常に温かい。
またまた私事だが、幼少のころ住んでいた浜田山に、清張氏の御宅があった。道ですれ違うとひどく気むずかしい印象だったらしいが、家で働くお手伝いさんたちへの心遣いの行き届く、大変優しい人だったとも聞く。

冬の海に小舟で一人こぎ出す『ゼロの焦点』佐知子、樹海にひた走る『波の塔』頼子の姿は、昭和が遠くなりつつある今も少しも色あせない。

【巨星松本清張展】神奈川近代文学館にて5月12日まで
図録も読み応えあって秀逸。

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2019年03月29日

第22回ミステリ文学賞&南北賞贈呈式


友人の辻寛之さんが新人賞を受賞した第22回ミステリ文学賞&南北賞の贈呈式とパーティが帝国ホテルで開かれました。
大賞は綾辻行人氏、特別賞は権田萬治氏、新人賞は辻寛之氏、鶴屋南北賞は平田オリザ氏。
選考委員と受賞者のスピーチを拝聴してから、パーティ会場に向かいました。小説教室でかつて机を並べた友人や恩師の先生方と再会でき、有意義なひと時でした。あらためて皆さまおめでとうございます。

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2019年02月26日

辻寛之 インソムニア出版授賞記念パーティ


以前、小説教室で机を並べた辻寛之さんが、めでたくミステリ文学大賞新人賞を受賞されました。京王プラザホテルにて受賞お祝いと『インソムニア』出版記念パーティが行われました。
同じ教室で学んだ作家の誉田龍一さんらと共に、私もスピーチさせていただきました。今までのご苦労を多少は存じ上げているだけに、本当に良かったと。あらためてお慶び申し上げます。
『インソムニア』ぜひご一読くださいませ。

posted by 橘かがり at 12:21| 小説仲間・授賞式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする